日本の職務経歴証明書を領事認証するまでの流れ【前編】

労働許可書申請のために日本の職務経歴証明書を領事認証する必要があるのですが、手続きや申請する機関が多くイマイチ仕組みが理解できません。

領事認証の意味や公文書と私文書の違い、過程で携わる各機関の役割を一つずつ理解すれば仕組みが見えてくると思います。

新規で労働許可書を申請する際、日本で準備する書類には領事認証の処理が必要となります。仕組みが複雑で理解が難しいという声もよく聞かれますが、流れを順に追っていくと理解の助けとなります。本記事では職務経歴証明書を例にあげて領事認証までの流れを3部構成にて解説していきます。

そもそも領事認証とは?

海外経験がない方や海外で書類申請業務などに直接携わらない方は領事認証と聞いてもいまいちピンとこないかもしれません。領事認証とは簡単に言うと

「日本国内で発行された書類(この記事では「職務経歴書」)を提出先の国(ベトナム)で有効なものにするための処理」

といったものになります。現在日本はハーグ国際司法会議で締結された「外国公文書の認証を不要とする条約」に加盟しており、同じ加盟国同士では領事認証が免除されています。しかしベトナムは非加盟国となりますので領事認証の処理が必要となるわけです。

この領事認証は日本のベトナム大使館(領事館)にて行われていますが、企業が発行した職務経歴証明書を持っていけばすぐ対応してくれるというわけではありません。この対応してもらえるまでのプロセスが少しややこしい(面倒くさい)ものとなります。

(領事認証が行われると提出した書類に領事認証シールが貼付される)

領事認証できる書類とは?

では企業が発行した職務経歴証明書はなぜそのまま領事認証できないのでしょうか?これは在外公館(大使館・領事館)が領事認証できる書類は「公文書」に限っており「私文書」は領事認証できないという事情があるからです。この「公文書」と「私文書」は大きく以下のように区別されています。

公文書

語義としては「公務員が職務上作成した文書」となっていますが、本件の理解のために「公印がある文書」という形で理解したほうが分かりやすいかと思います。「公印」については後ほど詳しく説明します。

私文書

個人または公的機関でない団体・組織などが作成した書類(一般企業による職務経歴証明書がこれに当たる)となります。こちらも公文書に対して「公印がない文書」という形で理解すればいいかと思います。

つまり企業が発行した職務経歴証明書は私文書に当たるため、領事認証してもらうためにはこの職務経歴証明書を「公文書化」する作業が必要となります。

私文書を公文書化するには?

では私文書(職務経歴証明書)を公文書化するにはどのような作業が必要になるでしょうか?先ほど書いた通り公文書とは「公印がある文書」ですので、公印が押された文書で、この公印が確かなものであるという証明・確認を受けて初めてベトナム大使館(領事館)にて領事認証手続きが可能となります。

この公印がある文書の取得から証明、確認までの処理で関わる機関が「公証役場」「法務局」「外務省」です。それぞれの機関が果たす役割、具体的な事務手続きについては次回「日本の職務経歴証明書を有効化するための流れ【中編】」にて解説します。

Facebook
Twitter
LinkedIn
Pocket
Email

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA