日本の職務経歴証明書を領事認証するまでの流れ【中編】

前回は「日本の職務経歴証明書を領事認証するまでの流れ【前編】」にて領事認証の意味や方法、また公文書、私文書に関することについて解説しました。今回は私文書を公文書化する処理について解説していきます。

公印の押印、証明、確認を受けるには?

前回の記事で私文書は公印の押印、証明、確認を受けることにより公文書化できると解説しましたが、公印の押印は「公証役場」、証明は「法務局」、確認は「外務省」にて行われます。以下にて各機関での役割について順番に見ていきます。

公証役場での公証処理

公証役場とは法務省が管轄する役所で日本全国に約300か所あるとされており、その中の多くは首都圏を中心に都市部に集中しています。そこでは公証人と呼ばれる専門家が依頼人の私文書に対し適法な文書を作成して署名&押印することにより公文書として成り立たせる業務を行っています。

実務的な話で説明すると職務経歴証明書を公証してもらう場合、職務経歴証明書に対して依頼者が宣言文と呼ばれる文書を作成し、その宣言文に対して公証人が公証を行うということになります。ここで初めて出た「宣言文」ですが、これは決まったフォームなどが特にあるわけではなく依頼人の裁量で作成することになります。

(書類に公証をしてもらうと上のような印鑑が押印される)

公証された書類を持って法務局へ

公証役場で公証処理が完了しますと、今度はその書類を持って法務局へ向かいます。法務局もあまねく全国に配置されており、先ほどの書類に押印された公証人押印の証明を行います。これは次に紹介する外務省での公印確認を受けるために必要なプロセスで、先ほどの公証役場で押されたものが事実であるという証明を行ってもらいます。

外務省にて最後の仕上げ

法務局で公証人が押印した公証印が事実であるという証明を受けて、最後に外務省で公印確認を行います。この公印確認は東京の外務省または大阪の外務省分室にて依頼します。公印確認自体は書類発行の日付から3か月以内のものでなければなりません。

以上のように①公証役場にて公証人よる公証処理、➁法務局にて公証印の証明、➂外務省にて公印確認、の3つを経ることでようやくベトナム大使館(領事館)にて領事認証を受ける書類とすることができます。

ワンストップサービスを利用するべき

さて、上のように公証役場から法務局に行き外務省へと3つの機関をハシゴするのは中々大変なものがあります。そこで特定の地域の公証役場ではこの手間を省くため、法務局や外務省での処理も併せて行う「ワンストップサービス」という制度があります。この制度を利用すれば法務局と外務省に行く必要はなく公証役場のみで領事認証に必要な文書の作成が完了します。

(公証役場にてワンストップサービスを利用した場合の書類。上から公証役場、法務局、外務省)

現在ワンストップサービスが実施されている地域は「北海道(札幌法務局管区内)、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、福岡県」にある公証役場となっています。その日のうちに領事認証まで済ませる場合、ベトナム大使(領事)館がある北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県でワンストップサービスを利用するのが効率的でしょう。午前中に公証役場に向かえば、混雑していない場合日帰りですべての処理が完了できます。

今回は領事認証に必要な公印の押印、証明、確認の流れについて解説しました。【後編】では時系列に作業順序を並べたまとめと実務上でよく聞かれる質問について紹介します。

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