海外で働くにあたって知っておくべき雇用形態

海外(ベトナム)で仕事を探す際にまず理解しておく必要があるのが二つの雇用形態があることです。初めて海外就職を考える場合、まずはそれぞれの雇用形態を把握した上で自分の希望にあった職探しをするようにしましょう。

駐在員雇用

駐在員とは日本本社で雇用され、日本から会社の命令で出向して現地に駐在している人を指します。会社の命令ですので本人の希望の有無は関係なく赴任している人もいます。

駐在員の待遇

日本本社での雇用となるので日本での雇用条件(つまり給与や社会保険など)はそのままに、海外出向手当などが加算される場合も多いです。この場合の手当とは現地で住む住居や生活費補助、医療保険、また家族帯同で赴任する場合は家族手当なども付くことが多く、また海外での通勤では送迎の車も用意されていたりするので、「致せり尽くせり」な待遇と感じることもあるでしょう。

その人の現地での生活の仕方にも依りますが、会社からの手当て次第では現地での生活費はほぼ手当だけで賄え、日本側で支払われる基本給は全て貯金へ回すというような人も見られます。

求められる役割

現地企業の代表や責任者的な立場で赴任しますので、現場では重要な責任を負うことになります。現地スタッフの管理と日本本社への対応で神経を費やす人も中にはいるでしょう。待遇が良い分求められる責任も重いのが駐在員ですが、このポジションは任期が終了すると通常は日本本社に戻ることになりますので、現地での実績が帰任後のキャリアに影響を与えることも珍しくありません。

駐在員として採用される可能性

待遇面だけを言うと後に書く現地採用よりも駐在員のほうが高待遇なのが普通です。しかしこういった駐在員採用はそもそも求人件数が少なく、中途採用として採用されるには本人のスキルや経験とは別にタイミングや運の要素も必要になります。

「ベトナムで働きたいが駐在員として働きたい!」となると、場合によっては長期的に就職活動をするつもりでいたほうがいいでしょう。また駐在員採用は企業にとって費用とリスクがありますので、採用もより慎重になります。近年ではできる限り駐在員を置かずに現地の業務が回るように整備するのがトレンドとなっています。

現地採用

現地採用とは読んで字のごとく現地(ベトナム)で直接採用される雇用形態のことです。例えばベトナムの場合は在ベトナム法人に採用されることになり、待遇やその他の面など全てベトナムの方式が適応されるので駐在員とは異なる待遇となることがほとんどです。

現地採用の待遇

日本側での待遇が考慮されない(する必要がない)のが現地採用です。ですので給与は基本現地通貨で支払われますし、社会保険なども現地の保険が適応されます。福利厚生などで一時帰国費用や海外の医療保険に加入する企業もありますが、必須というわけではありません。あくまで現地のスタンダードに合わせた待遇となります。つまり日本の社会保険などの支払いも当然ありませんので、その点をどうするかはしっかり考えておく必要があります。給与に関しては現地で生活する場合には比較的問題ない額が設定されますが、所帯持ちの人が単身で赴任して日本の家族へ仕送りをするのは普通の現地採用の待遇では厳しいでしょう。

求められる役割

会社の方針などにもよりますが、駐在員がいる環境で現地採用として働く場合、その駐在員のサポートに回ったり在職年数によっては駐在員と同等の仕事を求められることもあります。一方日本人が現地採用者のみの会社の場合は現地企業代表者としてすべての責任を任せられることもあります。責任の割には待遇が良くないという声も聞かれますが、若い方の場合は今後のキャリア形成の中で他では得られない経験を積むことが可能です。

現地採用として採用される可能性

ベトナムに限らず海外就業を目指す場合、人材紹介会社などを利用したら現地採用案件を紹介されることが圧倒的に多いでしょう。雇う側も現地採用の待遇は駐在員ほどではないので、雇う人材に対してそこまで高望みしない傾向があります。未経験者でも応募可能な求人はほとんどが現地採用案件なので、ベトナム就職を目指すに当たって現地採用でも検討対象になるのかで就職のハードルは随分違ってきます。

駐在員採用、現地採用のメリット、デメリット

駐在員採用、現地採用のそれぞれにメリット、デメリットがあるものです。今の自分にとって何を一番重視するのか、そういったことも考えながら採用形態を検討してみましょう。

駐在員のメリット:待遇が良い

中途採用としてベトナムで働く場合、駐在員採用で真っ先に挙げられるのは待遇についてです。他にも帰任後の日本での就業先がある程度保証されているというのもありますが、そのためにはベトナム現地での実績が必要となります。

駐在員のデメリット:自分の意思で動けない

基本行くも帰るも会社の命令なので、「このままベトナムがいたい!」と思っても辞令が出たら帰らなければなりません。企業によってはベトナム以外の海外に異動ということもありえるでしょう。現地でとどまらなければならない理由ができた(ベトナム人と結婚した、など)などの場合、辞めて現地採用に転職する人もいます。

現地採用のメリット:最初の門戸が広い

上でも書きましたがベトナム就職を目指す場合に門戸が広いのが現地採用です。また自ら選んでベトナムに来てその立場で働いていますので、ある意味働き方についても縛りがありません。その分自分のキャリアについては自分で考え、責任を持つ必要もあります。いわゆる日本的な働き方の枠から脱して自分のキャリアを確立させるのは現地採用でしかできないことではあります。

現地採用のデメリット:待遇面、職場環境

待遇面は一般的に駐在員と比べれば、という話ですので現地水準で見ると現地採用でも高給取りです。自分の生活水準や価値観でこの辺りの感覚はかなり違ってきます。ベトナム現地に根付いて、ベトナムで拠点を構える人の場合は現地採用の待遇でもそれほど苦にはならないでしょう。

海外就職では必ず駐在員か現地採用のどちらかを選ぶことがあります。金銭的な面だけではなく、それぞれの良し悪しを判断した上で最適な仕事が見つかるように転職活動をするようにしてください。