離婚した場合の労働許可書免除の取り扱いは?

ベトナム人配偶者がいることから労働許可書が免除されていましたが、先日正式に離婚しました。この場合現行の労働許可書免除の取り扱いはどうなるのでしょうか?

離婚成立の時点で労働許可書免除対象ではなくなると考えますが、現実的には労働許可書免除の更新やレジデンスカード更新時期が新規でWPを申請しなおすタイミングになるのではないでしょうか。

2021年に改正された労働法によりベトナム人配偶者を持つ外国人は労働許可書の取得が免除されています。ベトナム人配偶者を持つ日本人でこの恩恵を受けている方は相当数いると思いますが、免除状態で働いている方が離婚した場合、どのような扱いになるのでしょうか?本記事ではベトナム人配偶者を持つことにより労働許可書が免除されている外国人が離婚した場合について解説します。

法令整備が追い付いていない

2021年に労働法が改正されるまでは配偶者がベトナム人であっても滞在ビザが発給されるだけで、就業する場合には通常の外国人労働者と同じように労働許可書の申請が必要でした。しかしベトナム国内での長期滞在を認める一方で経歴によっては就業ができないというのは、ベトナム人と共に生計を立てていく上で大きな障害になるという指摘がされており、こういった背景から取得免除の改正が行われることとなりました。

この改正により免除申請を行うための具体的な条件が法令に記載されていますが、一方で免除された外国人が当該ベトナム人配偶者と離婚した場合における扱いについては言及されていません。ですので明確な法整備が行われるまでは現行の法令に沿った解釈に委ねながら対応していく必要があります。

現実的な処理としては?

法令の解釈に則ると、労働法154条8項にはベトナム人と結婚した外国人の労働許可書取得免除について「ベトナム人と結婚し、ベトナムの領土に住んでいる者」と定義されていることから、離婚して夫婦でなくなった場合は免除の対象外になると考えることができます。この時点で就業している場合は労働許可をとっていない不法就労者ということになりますので、改めて新規で労働許可の申請を行うのが順当と言えるでしょう。

ただ実務的な話となると離婚した元労働許可書免除者をそのまま働かせていた場合に、それを当局に関知される可能性がどこまであるか?という疑問はあります。というのも婚姻に関する管轄は人民委員会で、労働許可書の管轄は労働局です。離婚が成立したからといって人民委員会がわざわざ労働局に報告するかという疑問もありますし、人民委員会も離婚した外国人が労働許可書を免除されて働いているということを確認する義務がありません。特にベトナムでは管轄が異なる役所間での情報共有に杜撰なところがありますので、法整備もされていない分野での相互間のやり取りは恐らくないのでは?というのが個人的見解です。

ですので現実的には婚姻状況を当局に提出しなければならないタイミング、つまり労働許可書免除の更新やTT(親族)タイプのレジデンスカード更新の時期までに処理を行うといったところになるのではないでしょうか。

ベトナム人の配偶者ということで滞在や就労についてその恩恵を受けている人はたくさんいます。一方離婚によりそれらの恩恵を失った場合にどのような手続きを取る必要があるのかは企業よりも労働者本人が知識として持っておくべきことかと思います。

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