労働者が休職する際の手続きの流れ

従業員が私傷病により休職を申し出てきました。当社としては有望な人材なので休職を認めたいと思っていますが、その際の手続きと注意点について教えて下さい。

休職は双方合意の上で休職期間を決定することになり、それについての契約を結ぶ必要があります。また休職明けは休職前と同一の待遇で迎え入れなければなりません。

自社の従業員がやむを得ない理由で一時的に就業が難しくなった場合、退職か休業のどちらかを選択するのが普通です。もし従業員が退職ではなく休職を申し出た場合、企業としてどのように対応すればいいでしょうか。今回は従業員の休職に関する手続きについて解説します。

従業員から休職の申し出があったら?

まず従業員からやむを得ない理由で休職の申し出があった場合、企業はそれを受け入れなければならないのか?という点から見ていきます。休職は法令では「労働契約の一時的履行停止」という表現となり、労働法第30条1項では労働契約を一時的に履行停止できる場合を規定しています。

1.労働契約の一時的履行停止の根拠は以下からなる:
a) 労働者が軍事義務、自衛民兵19の義務を履行する。
b) 労働者が刑事訴訟に関する法令の規定に従って逮捕、拘留された。
c) 労働者が再教育学校、強制的リハビリテーション施設、強制的教育施設に行く措置を適用する決定を執行しなければならない。
d) この法典第 138 条の規定に従った妊娠をしている女性労働者。
đ) 労働者が国家が定款資本の 100%を保有する一人社員有限責任会社の企業管理者に任命された。
e) 労働者が企業における国家資本について、国家所有代表の権利、責任の実施につき受任した。
g) 労働者が他の企業に投資された企業の資本について、企業の権利、責任の実施につき受任した。
h) 両当事者が合意したその他の場合。

労働法第30条1項

今回の相談のように私傷病が理由である場合、上記引用のh)に当たりますので企業側と労働者の双方が合意している場合に休職が成り立つことになります。逆をいうと労働者の体調などが原因で企業側から休職を提案したとしても、労働者が合意しなければ休職を強要することはできません(同法36条「使用者の労働契約の解約の権利」に当てはまる場合を除く。)。

また休職が成立した場合は労働契約上における双方の義務が一時的に解除されますので、賃金などの支払い義務も生じません。(同条2項)

労働契約の一時的履行停止の契約

双方が休職に合意をすると、具体的にその休職期間(労働契約の一時的履行停止期間)に関する契約を締結する必要があります。この休職期間に上限はありませんので双方合意の上で決めることとなりますが、私傷病による休職の場合、無期雇用であれば1年、12か月から36カ月の有期雇用であれば6カ月を超えた時点から企業側に一方的な労働契約の解消をする権利が与えられます(労働法第36条)。また所定の休職期間明け、またはそれよりも早く労働者が復帰する場合、企業は原則として当該労働者に労働契約の内容と同じ待遇で迎え入れる必要があります。

休職理由が病気などの場合、どのぐらいの期間休めば回復するかは当事者間のみでは判断しにくいところがあります。本人の主観ではなく医師などの客観的な診断を基に休職期間を設定していくのが合理的かと思います。

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