ベトナムにおける外国人雇用承認についての考え方

労働許可書の申請に先立ち外国人雇用承認の申請が必要だと聞きました。これは労働許可書の申請とは異なるものなのでしょうか?

労働許可書申請の前準備のようなものです。外国人雇用承認は「その企業で労働許可書を申請しようとする職種が本当に活動上で必要なのかどうかを審査するようなもの」と捉えてもらえればと思います。

労働許可書の申請の前準備として外国人雇用承認の申請が必要となります。これは労働許可書を申請するための前提条件のようなもので、基本的には労働許可書申請とセットで行われる手続きです。本記事ではこの前準備である「外国人雇用承認の申請」について解説します。

外国人雇用承認についての考え方

ベトナムでは外国人が企業で労働するに当たり、その労働者が労働許可書の取得条件を満たしているからといって、どんな職種でも就業できるというわけではありません。企業は何かしらの職種で外国人を就業させたいと思ったときは、その職種で外国人を働かせることの承認を得る必要があります。これは労働許可書を申請するための前準備として必要な作業で、この承認がない場合はその職種での労働許可書の申請をすることができません。

またこの承認を得るためにはその企業の活動上、本当に必要な職種なのかの審査に通る必要がありますので、妥当性のない職種での申請は認められないことになります(例1)。他にも外国人の就業はベトナム人の管理業務という役割がついて回りますので、外国人就業者数に対してベトナム人従業員数が少ないという理由で却下されることもあります(例2)。

例1:商社が生産管理マネージャーの職種で申請。→事業活動と関連性がないと判断され却下。

例2:営業部門のベトナム人従業員数が10人なのに、外国人の営業マネージャーとして複数人を申請。→ベトナム人従業員10名を管理するのに外国人が複数人も不要と判断され却下。

(*上記2例は他に細かい要件を満たしていれば承認される可能性もあります)

承認を得るためのプロセス

実際に承認を得るためにはその妥当性を証明する必要があるわけで、そのために会社の定款を変更する作業がよく発生します。変更内容はケースによって様々ですので一概には言えませんが、組織上その申請職種が必要なものであるように修正するなどテクニカルな部分が含まれます。日頃の仕事では会社定款を意識する機会もあまりないと思いますが、申請をコンサルに依頼する場合は提出を求められることもよくありますので、現地法人の代表者などで定款の心当たりがない方は一度その存在を確認しておいたほうがいいでしょう。

(外国人雇用承認サンプル:専門家の区分で申請する際に審査がより厳しくなる)

この申請は該当する外国人を雇用する30日前までに行わなければならず、承認を得られてから労働許可書申請へと進むことになります。承認期間は原則2年とされており労働許可書の有効期間もこの外国人雇用承認期間に紐づいていることから、現行の労働許可書を更新する場合には外国人雇用承認の更新も一緒に発生するものだと考えておいてください。

以上から外国人を採用する際の手続きは以下のような流れが一般的です。

①外国人雇用承認申請→企業がその申請職種で雇用するのが適切なのかを判断

➁労働許可書申請→承認を受けた職種についてその外国人材が適切なのか判断

➂テンポラリーレジデンスカードの申請→➁に基づき一時滞在が適切なのか判断

新たに専門家などの区分で現地採用したい場合や日本からの赴任者を検討する場合、まずはその企業が想定する職種で雇用することが可能なのかを考える必要があります。ここを飛ばして採用活動を先に行ってしまうと、該当人材が労働許可書の取得要件を満たしているにも関わらず雇用できないという事態も発生しかねないのでご注意ください。

コンサルが労働許可書関連のサポートを請け負う場合は上記①~③をセットで請け負うことが多いですが、見積の記載は①と➁を一括している会社と別々にしている会社があるそうなので、気になる場合は内訳を確認されることをお勧めします。

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