労働許可書用の職務経歴要件:ベトナム国内での職歴は認められる?

労働許可書取得のために必要な職務経歴について、日本での職歴はありませんがベトナムでの職歴はあります。ベトナムの職歴は申請に使えるのでしょうか?

労働許可書の取得に求められる職歴要件はベトナム以外での職歴となりますので、ベトナム国内での職務経歴は使えません。

現地採用希望の方で時折ベトナム国内での職歴しかない方が見受けられます。これまでに労働許可書の取得実績があることから転職しても問題なく労働許可書を取得できると思い込んでいる方もいらっしゃいますが、現在の規定では取得要件を満たしていないことになります。本記事ではその辺りの事情について解説します。

労働許可書取得に求められる職歴とは?

議定152/2020/NĐ-CPでは外国人の労働許可書に関する各規定が定められており、同法第3条3項では外国人労働者が労働許可書を取得するために必要な「専門家」としての条件が記されています。

以下:152/2020/NĐ-CP第3条3項

3. Chuyên gia là người lao động nước ngoài thuộc một trong các trường hợp sau đây:(専門家とは以下の条件を満たす外国人労働者に認められる。)

a) Có bằng đại học trở lên hoặc tương đương và có ít nhất 3 năm kinh nghiệm làm việc trong chuyên ngành được đào tạo phù hợp với vị trí công việc mà người lao động nước ngoài dự kiến làm việc tại Việt Nam;(大学またはそれに相応する学歴とベトナムで就業予定の職種に関連した業務を少なくとも3年以上経験していること。またその業務は卒業学部に関連した知識を使う業務であることが求められる。)

b) Có ít nhất 5 năm kinh nghiệm và có chứng chỉ hành nghề phù hợp với vị trí công việc mà người lao động nước ngoài dự kiến làm việc tại Việt Nam;(ベトナムで就業予定の職種に関連した5年以上の業務経験とそれに関連した専門性を証明できる資格)

c) Trường hợp đặc biệt do Thủ tướng Chính phủ quyết định theo đề nghị của Bộ Lao động – Thương binh và Xã hội.(労働傷病社会省の議定に応じた政府首相が決定した特別な場合)

上で規定されている職歴要件を見ますとその業務経験がベトナム国内か海外であるかは言及されていません。しかし同法第9条では提出書類に関する規定があり、その中の4項bでは専門家としての専門性を証明するために提出する書類について言及されています。

以下:152/2020/NĐ-CP第9条4項b

4. Văn bản, giấy tờ chứng minh là nhà quản lý, giám đốc điều hành, chuyên gia, lao động kỹ thuật và một số nghề, công việc được quy định như sau:(経営者、管理者、専門家、技術者、およびその他の職業の経歴を証明する文書および書類は以下のように規定する)

b) Giấy tờ chứng minh là chuyên gia, lao động kỹ thuật theo quy định tại khoản 3, 6 Điều 3 Nghị định này, gồm: văn bằng, chứng chỉ, văn bản xác nhận của cơ quan, tổ chức, doanh nghiệp tại nước ngoài về số năm kinh nghiệm của chuyên gia, lao động kỹ thuật;(議定3条3項、6項の規定に応じた技術者、専門家を証明するための書類は以下のものとする:技術者または専門家としての経験年数について海外における企業、役所などから発行された文書、資格、証明書)

このように専門性を証明する書類は海外の機関から発行されたものであることが明記されています。つまりベトナム国内の機関で発行されたものは証明として認められないということになりますので、ベトナム国内での職務経験は使えないという解釈となります。また「海外」としていることからベトナム以外の職歴であれば使えることも分かります。(例:日本人がタイでの職歴を使って労働許可書の申請をする、など)

誤解が起きるそもそもの原因

ベトナム国内での職歴は使えないということが分かりましたが、そもそもなぜベトナム国内の職歴でも使えるという思い込みや疑問が生じるのでしょうか?これは恐らく「実際にそれでも労働許可書が取れてしまっている」という実情があるからだと考えます。

本来は必要な職歴要件を満たしていないのに何かしらの操作で取得できた結果、

「自分は取得要件を満たしている」

と思い込んだ結果ではないでしょうか。労働許可書を取得する過程で何かしらの操作をした場合、具体的にどのような操作をしたのかまでを把握している人は少ないものです。他社に転職しても問題なく労働許可書が取れると思い込み、転職活動をしたときに難儀するというのは珍しい話ではありません。

海外で必要な条件を満たさない限り、ベトナム国内ではどれだけ経験を積んでも現状正攻法での労働許可書は取得できないということになります。ベトナムのスタンスとしては「外国人ではないと務まらない業務」に対して労働許可書を発行していますので、ベトナム国内で積んだ経験やスキルは「ベトナム人でも務まる業務」という解釈になるのではと考えられます。

転職先で労働許可書を取得できないために入社が取り消しになることは相応にあります。たとえこれまでに取得の実績があったとしても自分が取得要件を本当に満たしているのか、またどのような形での申請で取得したのかを理解しておいても損はないでしょう。

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