試用期間中における年次有給休暇の取り扱いについて

60日の試用期間中のスタッフから有給休暇の申請があったのですが、そもそも試用期間中に有給休暇は発生するものなんでしょうか?

試用期間中の有給休暇取得については法整備がされていませんので、各企業が労働契約や就業規則などを定めて対応することになります。

ベトナムでは有給休暇は自主的に取得するのが普通ですが試用期間中に有給休暇を申請する人は少なく、急に言われると面食らうかもしれません。そもそも試用期間中に年次有給休暇は発生するのか?その場合の取り扱いはどのようになるのか?本記事ではその点について解説していきます。

年次有給休暇の仕組み

ベトナムにおける有給休暇の付与日数の仕組みについて、大きく「12か月勤務した被雇用者」と「12か月未満の被雇用者」に分けられます。

12か月勤務した被雇用者の場合

同じ会社で12か月勤務した者については、12か月を過ぎた時点で年間12日の年次有給が付与されます(*労働傷病兵社会事業省と保健省が公布したリスト内の重労働・有害・危険な業務に従事する者は14日、より過酷な業務に従事する者は16日支給される)。【労働法第111条】

また同じ会社で就業する場合は5年ごとに付与される日数が1日加算されていきます (例:2015年4月入社の場合、2020年4月の年度より有給日数は最低13日付与される)。

2022年時点の法令で増加していく最低付与日数に上限はありませんので、理論上は勤続年数が長くなればなるほど最低付与しなければならない日数は無限に増えていくことになります(*日本は勤続年数6.5年の20日が最大)。

12か月未満の被雇用者の場合

12か月未満の短期雇用者や入社後12か月を経過していない者については労働期間に比例して算定され、通常フルタイム勤務の場合は1か月の就業につき1日与えられるとしています。【労働法第114条】

試用期間中に有給休暇は発生する?

ベトナムの労働法では試用期間中の有給休暇については言及されていませんが、試用期間に対する法的な扱いを考慮すると有給休暇発生の可能性はあると考えられます。その根拠として「試用期間終了後にそのまま本採用された場合、試用の期間は同じ会社で連続して在籍した期間とみなされる。(労働条件、関連における詳細案内規定第65条2項)」というものがあります。

これは試用期間中も正規雇用と同等に付与日数が計算されると解釈され、仮に試用期間を60日とし、正社員雇用への切り替えがされた場合は試用期間終了時点でおおよそ2日の有給休暇が既に発生していることになるわけです。

ただしこれはあくまで正規雇用に切り替わった場合の付与日数に関する計算規定なので、試用期間中の有給休暇の取り扱いまでを言及したものではありません。こういったことから最終的には試用期間中の労働者が有給休暇を取得する権利を持つかどうかは各企業の労働契約や就業規則などに依存することになります。

例:「試用期間中の有給休暇は本採用に切り替わった場合のみ付与日数の計算に含むものとし、試用期間中での有給休暇取得及び清算はできないものとする。」など。

一般的にベトナムでも試用期間中に有給休暇の申請をする人は少なく、このようなことが問題として上がるケースはそう多くないでしょう。それ故に法整備も今の時点ではまだ進んでいないことになりますが、もし現行の法令に則って対処しなければならない場合、本記事の考え方を参考にしてもらえればと思います。

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