外国人でもVNeIDに登録する必要があるのでしょうか?対象者と登録の流れについて教えてください。
外国人の登録は任意となっていますが、法定代表者となっている人は登録が義務付けられています。また登録はオンライン上で可能ですが、外国人の場合はオンライン登録を可能とするために入管で申請を行う必要があります。
2025年7月1日から全国の省の再編など行政に関する様々な変更が生じています。銀行口座の生体認証など企業の代表者は新しい制度に対応するために、色々と差込業務が入っていることと思われます。同じくVNeIDの登録もその中の一つとなりますが、地味に手間がかかるこの登録処理。本記事ではVNeIDの概要と登録までの流れを2回に分けて紹介していきます。
VNeIDとは
VNeID(Vietnam Electronic Identification)は、ベトナム公安省が開発した電子身分証明アプリケーションで、ベトナムの国家人口データ、本人確認、電子認証の適用に基づいた総合的なアプリケーションです。国民および居住外国人の個人情報を統合し、デジタル化された本人確認システムを提供しています。これにより、行政手続きの簡素化、書類作成時間の短縮、対面でのやり取りの最小化が期待されています。
ベトナム人は行政の手続きなどで役所に赴く必要がなくなる他、チップベースの身分証明書やVNeIDアプリに統合された個人情報により、多くの場面で物理的な書類を提示する必要がなくなるとされています。将来的には運転免許証、銀行口座情報、学歴なども統合される予定だそうです。
外国人にとってのVNeID
2025年7月1日より、ベトナムに合法的に居住する外国人もVNeIDのレベル2電子身分証明(eID)アカウントを登録できるようになりました。これは、ベトナムにおける外国人の生活と業務を大幅に簡素化するためとされていて、主に以下のようなところでその実用性が発揮されます。
行政手続きの合理化: 入国管理、居住、許認可などの行政手続きの簡素化
安全な金融サービスへのアクセス: 銀行取引や金融サービスにおいて、安全な本人確認が可能
デジタル書類の保管: 居住カード、ビザ、労働許可証などのデジタル版をVNeIDアプリ内に安全に保管
オンライン申告への利用: オンライン申告、健康保険、納税などに利用可能
物理的な書類の代替: 多くの場合において、物理的な書類の代替として機能
VNeIDに登録しなければならない外国人

現行の法令では、すべての外国人にVNeIDへの登録が義務付けられているわけではありません。ただし外資企業・団体の法定代表者(または正式に委任を受けた代理人)は企業のオンライン行政手続きを行う際に、法定代表者またはその代理人がVNeIDレベル2アカウントを保有している必要がありますので、ERC(企業登録証明書)に自分の名前が入っている外国人は登録しなければならないと考えていいでしょう。
また国が定める「登録強化期間」が7月1日~8月19日となっていますので、この期間中に登録を終えておいほうがいいかと思います。
その他にもオンラインで行政手続きを行う外国人は登録しなければならないとしています。つまり現在はオフラインでも手続き対応をしていると解釈できますが、将来的に行政手続きがオンライン対応のみとなれば、ベトナムに居住する全ての外国人が登録しなければならないということになるでしょう。
VNeID登録までの流れ
ここからはVNeIDに登録するまでの流れを説明していきます。登録自体はネット上ですぐできるのですが、外国人の場合、オンラインで登録できるようにするために入管に行かなければならないので多少手間がかかります。既に申請が完了した人たちがかかった平均時間を考えますと、入管がある都市部に住んでいる人で半日、地方から来る人の場合は1日作業ぐらいで見ておいたほうがいいかもしれません。
入管での申請には「パスポート」「TRC」「申請者名義のベトナムの携帯電話番号」が必要です。申請者名義のベトナムの携帯電話番号とは、つまり自分の名前が登録されたSIMカードが必要なわけですが、もとからこの登録をしている人は少ないのではないでしょうか。特に会社から貸与されているSIMカードを使っている人は会社名義である可能性が高いので、それでは申請することができません。その場合は事前に使っているSIMカードの電話会社へ行って、名義の変更または新しく自分の名前で登録をする必要があります。
ちなみに会社名義から自分の名前に変更するのは複雑なようで、時間がかかると聞いています。(私は個人で所有してたSIMカードだったので、新しく自分の名前ですんなり登録できました。)名義変更で求められる書類や必要条件などが複雑だったので、名義変更をせずに新しいSIMを買って自分の名前を登録して対応した人もいるようです。
余談ですが、この件について携帯電話会社で働いているベトナム人の知り合いに聞いてみると、
「そもそも普通はSIMカードの名義を変更するなんて依頼はないので、フローが確立されていない店舗が多いのではないかと。まして外資企業名義から外国人への変更なんで、余計に面倒だと思われているのかもしれませんね。」
とのことです。だからといってその対応もどうかと思いますが、そこはベトナムなんで何となく腑に落ちた私見でした。
次回は具体的な入管での申請やり取りとその後の登録作業を「VNeIDの概要と登録の流れ【後編】」にて紹介します。