外国人雇用承認における法改正

2024年1月1日から外国人雇用の承認手順が変更になったと聞きました。この点について詳しく教えてください。

雇用承認を得るために同ポジションにおいてベトナム人労働者を採用できない証明をしなければならないようになりました。

2024年1月1日より外国人の雇用承認を得るために、事前に同ポジションをベトナム人労働者で採れないことを証明しなければならなくなりました。しかし本件の法改正では具体的な手順は示されているものの、実務面においていくつか疑問が沸くものとなっています。今回は外国人雇用における考え方や変更点、実務面における疑問について紹介します。

外国人を雇用できる条件

外国人がベトナムで働くために、原則として労働許可書を取得しなければならないのは多くの人が知っているところです。またその労働許可書を申請取得する前に、企業が同ポジションで外国人を雇うことについて承認を得なければならないことも以前の記事で取り上げました。

外国人を雇用するにはそのポジションがベトナム人では務まらないという前提で、従来はその条件を満たしていることを通知する書類を当局へ提出すれば外国人の雇用承認が下りた、という流れでした。

しかし2024年1月1日からは書面による通知と申請だけではなく、実際に外国人を採用するのと同じ条件でベトナム人を募集してみて、その結果、採用できないことが証明できれば承認を得ることができるとなっています。

ベトナム人を採用できない証明

ではどのようにしてベトナム人を採用できないことを証明するのでしょうか?議定70/2023/ND-CPの第1条2項ではそれを証明する流れを発表しています。(以下:概要)

・外国人労働者の採用が見込まれる職種について、同条件にてベトナム人労働者の採用を労働傷病兵社会省(雇用局)が管理する求人サイトにて行う。募集告知の内容は、役職、職務内容、資格要件、経験、給与、勤務時間、勤務地などを含まなければならない。求人サイトĐăng nhập (vieclamvietnam.gov.vn)

・外国人を雇用する15日前までにベトナム人労働者では務まらない、採用できない旨を労働傷病兵社会省に申請し、申請から10営業日以内に承認、不承認の判断をする。

早い話が「専用の求人サイトで外国人を雇う場合と同条件でベトナム人労働者を募集してみて、それで採れなかったら承認してあげますよ」ということです。

実務面における疑問

発表されている内容を見て承認を得るための手順は分かりました。しかし実務面において承認を得るための基準について疑問がいくつか浮かびます。

求人サイトの知名度

ベトナム人紹介をしている身としては、同サイトに対するベトナム人の知名度が気になるところです。これから何かしらの形で知名度が上がっていく可能性はあるかもしれませんが、少なくとも現時点での知名度は決して高くありません。そもそも外資系企業への就職に当たり、国の職業紹介を介して就職する人はほとんどいないわけで、職探しに同サイトを見て探すという習慣が根付くでしょうか。当局が求人掲載は形だけのもので知名度云々などは気にしないという姿勢であれば完全にザルな存在にもなりえます。

非承認の基準

専用サイトに求人を掲載したものの、一定期間応募が全くないということであればベトナム人を採れない理由にはなるかと思います。しかし一定数の応募があった場合はどうでしょうか?この場合外国人を採るために企業側が建前上の理由をつけて選考を見送り続けた場合にどのような判断を下されるのか気になるところです。当局がベトナム人労働者を採れると判断して一方的に非承認とした場合でも、対象企業が代わりにベトナム人を採ることに舵を切るのは現実的に難しいとも思われます。

これら実務面における疑問は実際の事例を積み重ねて判断していくことになります。新しい法令の不足部分については施行しながら追加、改定していくのはよくあることですので暫く様子見の期間が続くことになりそうです。

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