ベトナムの民間療法

ベトナムの民間療法には様々なものが存在し、中には目を疑うようなものもあります。わざわざその民間療法を頼らなくても、今は病院や薬局などで適切な治療薬が手に入るので、ベトナム人でも伝統的な民間療法を経験する人は減ってきていると聞きます。今回は、私が体験した民間療法的な応急手当について紹介します。

(*本記事はフリーペーパー「Walking Vietnam」5月号に筆者が寄稿しているコラムを転載しています。)

突然の激痛

新規営業のアポイント先へ向かうべく、ハノイ旧市街の道を歩いていた時のことです。突然顔面に向かって3cmほどの虫が飛んできたので咄嗟に手で振り払ったところ、バチっとした音と共に左手甲に激痛が走りました。飛んで行った虫を見ると、どうやら蜂に刺されたようです。おそらく、アシナガバチの類でしょうか。日本で見るアシナガバチはオレンジ色っぽい印象ですが、こちらのアシナガバチはレモンのように真っ黄色でした。これまで蜂に刺されたことがなかったので、どれぐらい痛いのだろうかと長年疑問でしたが、まさかこんな形で経験することになろうとは…。

そのまま商談へ

刺された時点でアポイントの約15分前。治療をする暇もなくそのまま訪問先へ向かいました。その時はお互いが初対面だったので独特な緊張感がある中、「いや~さっき蜂に刺されまして。テヘッ(笑)」と言えるような雰囲気でもなく、冷静をよそおいながら商談は進行。左手はズキズキして変な汗が出ていましたが、恐らく相手には気づかれることなく乗り切ることができました。治療はとりあえず事務所に戻ってからにしようと思い、そのまま岐路につきました。

事務所へ戻ると

事務所に戻ったところで虫刺され用の薬があるわけでもなく、ベトナム人スタッフに事情を話しました。すると「まあ、大変!」といった様子で渡されたのは、まさかの歯磨き粉。これを応急手当で使ってください、とのこと。他のスタッフもそれに驚いた様子はなく、どうやら蜂に刺されたときの歯磨き粉は共通認識なようです。刺された患部に塗ってみると、ヒヤッとした清涼感はあるものの、「本当にこんなんで大丈夫か?」という不安が襲います。帰宅してから虫刺され用の薬を塗って完治させたものの、あれは一体なんだったのか。他のベトナム人に聞いてみても、「あるある」として笑われました。

ちなみにネットで「蜂に刺された 歯磨き粉」で検索してもヒットせず、AIに聞いてみても「そんなことしてはいけません」とドライに否定されてしまいました。完全な民間療法で医学的根拠もなさそうなので、おすすめはできません。私が子どもの時は、蜂に刺されたらおしっこをかけるという民間療法を聞いたことがありますが、あれと似たようなものといったら怒られますかね…。

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