進むキャッシュレス化:ビザの個人申請にご用心

入管で現金による支払いを拒否されたのですが、現金払いはできなくなったのでしょうか?

地域による揺れがあると聞いていますが、ハノイではオンライン決済が基本となっています。今後は行政もデジタル決済が主流となるでしょう。

キャッシュレス化が急速に普及しているベトナム。デジタルとは縁が無さそうな市場での支払いもキャッシュレス化が進んでいます。このような中、ビザやレジデンスカードといった入国・滞在許可に関する費用の支払いもキャッシュレスなのは驚くことではないかもしれません。「以前は現金で払えたのに…」「窓口で現金を突き返された!」といった声も聞かれるようになり、この変化を知らないと思わぬトラブルになる可能性もあります。今回はEビザ、レジデンスカードにおける支払い方法の最新動向を解説していきます。

ベトナムEビザ(電子ビザ):オンライン決済が主流

ベトナムへの短期観光やビジネス目的で最も手軽に取得できる「Eビザ(電子ビザ)」。このEビザ費用の支払いは原則オンライン決済での対応となります。

  • 支払い方法: クレジットカードまたはデビットカード。申請ウェブサイト上で決済。
  • 申請の流れ:
    1. ベトナム公安省出入国管理局の公式サイト(https://evisa.xuatnhapcanh.gov.vn/)にアクセス。
    2. 必要事項を入力し、顔写真とパスポートの顔写真ページの画像をアップロード。
    3. 申請後、指定された金額をクレジットカードでオンライン決済。
    4. 審査期間(通常3営業日程度)を経て、承認されればEビザが発行されます。

このEビザのオンライン決済は、手続きの効率化と透明性確保という政府の明確な方針に基づいています。渡航前に必ず有効なクレジットカードを用意し、滞りなく申請を済ませましょう。

レジデンスカード(一時滞在許可証):窓口での現金払いは不可?

長期滞在者にとって不可欠な「レジデンスカード(一時滞在許可証)」の発行手続きにおいても、支払い方法に大きな変化が見られます。以前は入国管理局の窓口で現金支払いが可能でしたが、ここ最近では窓口での現金支払いが拒否される事例が急増しています。

「窓口で現金を渡そうとしたら、オンライン決済を指示された」という事例があります。これは地域の入管によって多少の揺れがあるという話も聞きますが、私の経験上、現時点でハノイの入管ではオンライン決済を指示されるという認識です。その場でクレジットカードを出したり、QRコードを読み込んで銀行決済できるというものではなく、事前に支払いの登録をしておかないと受け付けられないというのが厄介なところです。このことを知らないと支払いで頓挫して、引き返さなければならない事態に見舞われてしまいます。

入管の説明としては行政サービスのデジタル化推進の他、現金取引を減らすことで、不正や汚職の温床をなくし、収支の透明性を高める狙いがあるとのことです。

コンサルティング会社を介してレジデンスカードの申請を実施する場合、この点について特に心配する必要がありませんが、ベトナム人配偶者がいるなど個人で申請処理をする場合、事前に支払い方法について確認しておくことが重要です。「窓口で現金が使えない」という事態に直面しても慌てないよう、準備を怠らないようにしましょう。

なぜキャッシュレス化が進むのか?:ベトナム政府の狙い

行政でもキャッシュレス化が進んでいるのは先ほども述べた通り、透明性の向上と汚職対策があります。現金取引を減らすことで、不正な金銭のやり取りを防ぎ、行政の透明性を高める効果も期待されています。数年前から政府、役人に対する汚職の取り締まりが厳しくなっていますし、こういった取り組みで汚職が減っていくのであれば国家としてあるべき取り組みをしているとは思います。個人的には地方の公安に対する支払いも早く同じようになってほしいものですが、地方ではデジタル決済手段のない国民の利用もたくさんありますので、もう少し時間がかかるかもしれません。

他にもベトナムは行政サービスをデジタル化し、国民や外国人の利便性を高めるデジタル国家を目標としていることや、紙ベースの行政手続きを減らし、オンラインで完結できる電子政府の構築を進めていることも挙げられます。将来的には公安へ足を運ばず書類の取り寄せができる社会を期待したいものです。

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